視察ツアー

工務店業界の変革を感じたウィル視察ツアー: 街並みから学ぶ未来の住まいづくり

工務店業界の変革を感じたウィル視察ツアー: 街並みから学ぶ未来の住まいづくり
視察ツアーは、新たな発見や学びを得る貴重な機会ですが、今回のウィル主催の視察ツアーは、従来とは一線を画すユニークな内容でした。これまでの視察では、住宅内部のデザインや性能に焦点を当てることが一般的でしたが、今回の視察では「街並み」や「都市計画」といった広い視野でのアプローチが特徴的でした。このような切り口は、工務店業界における新たな方向性を示唆するものであり、大きな変革の兆しを感じさせます。

以下では、ツアーの具体的な内容や得られた学び、特に印象に残ったポイントについて詳しく掘り下げていきます。

視察: 株式会社ウィル

株式会社ウィル様は、京阪エリアにおける不動産取引で圧倒的なシェアを誇る企業です。同社は不動産仲介店舗を運営し、特に中古物件の流通において同エリアでトップクラスの実績を有しています。これに加え、中古物件の仲介に付随するリノベーション工事を年間1,000件以上手掛けるなど、高い専門性と実績を持っています。

 

さらに、京大生が最も入社する不動産会社としても知られており、人材面でも業界をリードする存在です。今回は、同社が手掛ける付加価値を付けたコンセプト分譲事業について視察の機会をいただき、その取り組みについて学ばせていただきました。

①視察物件の紹介:3つの分譲地を視察しました

今回のツアーでは、以下の3つの分譲地を訪れました。それぞれが明確なコンセプトに基づき設計されており、参加者に多くの刺激を与えてくれました。

 

  • 逆瀬川PRIMES(無電柱の街)
    街全体が無電柱化され、美しい景観が保たれています。緑の配置や街区の計画が綿密に考えられており、住民が快適に暮らせる空間を実現していました。
  • ALKU宝塚売布(地役権を活用した街)
    地役権を活用し、土地の有効利用を行った事例です。限られた土地でも、工夫次第で魅力的な街並みを実現できる可能性を感じました。
  • Aria伊丹昆陽池ヴェール(竣工時完売の街)
    街並みの設計から販売戦略までが一貫しており、住む人が暮らしをイメージしやすい工夫が随所に見られました。

それぞれの分譲地には、建物そのもの以上に街全体としての魅力を高める工夫が施されており、参加者からも感嘆の声が多く聞かれました。

②野村氏の講演:コンセプト分譲で大切にしていること

視察ツアーの最後を締めくくる形で行われた野村氏の講演では、ウィルの分譲地づくりに込められた想いと、その具体的な取り組みが語られました。土地の仕入れから販売までを一貫して手掛けるウィルならではの視点が、参加者にとって多くの学びを提供しました。以下では、講演の中で特に印象的だったポイントを掘り下げてご紹介します。

 

1. 土地の仕入れ段階から始まる「コンセプト設計」

野村氏は講演の中で、「土地を仕入れる段階から営業・設計部門が連携することが、成功の鍵である」と強調されていました。ウィルでは、仕入れ時点でエリアの特性や購入層を念頭に置き、コンセプトを立案。その後、設計部門が具体的なプランに落とし込み、営業部門が顧客に対してその魅力を発信するという流れを大切にしているそうです。

たとえば、今回視察した「逆瀬川PRIMES」では、「無電柱化」による街並みの美しさをコンセプトの柱に据えています。これは、エリア特性を熟知し、顧客ニーズを徹底的に分析した結果として生まれたアイデアです。このように、土地ごとの「独自の価値」をいかに見出し、それを設計や販売に反映するかが重要だと語られていました。

 

2. 営業と設計部門の信頼関係が生む「顧客への説得力」

野村氏は、営業と設計の信頼関係がウィルの大きな強みであると語りました。設計部門が「なぜこのデザインやプランにしたのか」を明確に説明できることで、営業マンも自信を持って顧客にその魅力を伝えられる仕組みが整っています。

講演では、過去の具体的な事例も挙げられました。ある営業マンは、設計部がクロスの色一つひとつに込めた意味や、なぜその間取りを選んだのかを細部まで理解しており、それを顧客に熱心に伝えた結果、高い評価を得たとのこと。このような「設計の意図を正確に伝える営業力」は、ウィルの一貫した取り組みがあってこそ成り立っていると感じられました。

 

3. エリア分析と価格設定の精密さ

講演では、ウィルが特に力を入れている「エリア分析」と「価格設定」についても詳しく語られました。土地の需要や周辺環境、競合状況を徹底的に調査し、ターゲットとなる顧客層にとって「最適な価格帯」を見極めることで、分譲地の成功率を高めているそうです。

また、ただ分析するだけではなく、これらのデータをもとに、どうすれば顧客に「住みたい」と思わせる価値を付加できるかを考える姿勢が重要だと強調されました。たとえば、今回視察した「ALKU宝塚売布」では、地役権という難しいテーマを扱いながらも、丁寧な価格設定とエリア特性に合った設計で魅力的な街を作り上げた点が評価されています。

 

4. 営業マンへの教育と「会社愛」の重要性

さらに野村氏は、ウィルの営業マンが自社製品に誇りを持っている点についても触れました。ウィルでは、営業マンが設計や街づくりの意図を深く理解するための教育体制が整備されており、その結果、全社員が「自社製品を心から愛する」文化が育まれています。

この「会社愛」が顧客との接点でも自然と伝わり、結果的に購買意欲を高める力になっているとのこと。「営業マンが会社を愛し、楽しそうに物件の魅力を語る姿を見ると、顧客もその熱意に引き込まれる」と語る野村氏の言葉は、参加者の心にも響くものがありました。

③SUMUSからの発表:印象に残った3つのポイント

SUMUSからも、今回の視察を通じて得た学びについて発表がありました。その中でも、特に印象的だった3つのポイントを以下にまとめます。

 

①コンセプト設計の重要性

ウィルの分譲地では、単なる住宅提供ではなく、街全体の価値を高めるコンセプト設計が徹底されています。無電柱化や地役権の活用など、土地ごとの特性を生かした計画が行われており、他の工務店にとっても参考になる部分が多いと感じました。

 

②設計と営業の連携が生む信頼感

ウィルの営業マンは、設計部門と強い信頼関係を築いており、プランの細部まで顧客に自信を持って説明しています。このような連携は顧客に安心感を与え、販売力の向上につながっていると感じました。

 

③街並みとコミュニティの提供

分譲地全体を通じて、住む人々が暮らしをイメージしやすい工夫が施されています。特に、街並みやコミュニティに焦点を当てることで、物件の魅力を建物単体以上に高めている点が印象的でした。

まとめ:視察を通じて得た気づき

今回のウィル視察ツアーでは、街並みや分譲地全体の設計に焦点を当てた新しい視点を学ぶことができました。特に、土地の仕入れから販売まで一貫した熱意を持って取り組む姿勢や、設計と営業の連携による信頼感の醸成は、他の工務店にも取り入れられるべき重要なポイントです。

また、単なる建物提供ではなく、街並みやコミュニティを通じた暮らしの提案を重視する姿勢は、これからの住宅業界が目指すべき方向性を示していると感じました。この学びを参考に、今後の事業に活かしていきたいと思います。

最後に、このような貴重な機会を提供してくださったウィルの皆様に感謝申し上げます!

 

BACK TO LIST